episode06

市民が参加した、戦後の登呂遺跡の発掘

発掘ボランティア

登呂遺跡の発掘に携わったのは、研究機関の専門家だけではありません。昭和22年(1947)からの発掘調査には、終戦直後の食糧不足・物資不足などの厳しい環境にもかかわらず、地元の中高生を中心に、たくさんの市民が参加しました。誰もが参加できる開放的な調査は、いままでの遺跡発掘の常識では考えられないものでした。

発掘には、男性だけでなく女性も参加しました。当時は男女が協力して作業することは珍しく、男女別がうるさい時代ということもあり、「発掘調査で初めて女学生と話をした」という男子生徒もいたようです。登呂遺跡の発掘は、市民参加、男女平等などの「戦後民主主義」の価値観を表現するものでもあったと考えます。

また、現代の市民ボランティアの先駆けとも言えるものであり、発掘参加をきっかけとして地域や学校の「郷土文化研究会活動」も活発に行われるようになりました。市民参加の伝統はいまも受け継がれており、火起こしや土器づくりなどの弥生体験イベントでは、博物館のボランティアスタッフが活躍しています。

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